2020-01-01から1年間の記事一覧

墜落

診てもらっていた主治医の先生が別の病院に勤務することになってしまった。しかもその病院では診療を行わず、機械による治療を担当するようで、私の心のうちを明かしたたった一人の大人は消えてしまった。結局何もかもうまくいかない。今度こそ、この調子、…

息のできる死骸

この1年間の人との関わり合いの薄さと言えば異常なほどで、本当に人間社会で生きているのかも分からないくらい堕落した生活を送っていた。そのあいだ文明が与えた恩恵と厄難についてしばらく考えたりしていた。 自分が普通の状態ではないのにこれまで通りに…

夢の中まで出てきたにおい

実家で飼っていた二匹の犬がそれぞれ死んでしまった時の喪失感を思い出していた。私よりも遅く生まれてきたのに、私よりもずっと早く消えてしまった、小さくあたたかな命。 その時の家族全員の憔悴ぶりといったらこの上なかった。私は朝から晩までひっきりな…

同じように

無人島で暮らしたい。海が近くにあるところ。娯楽を選択することはできないがとにかくニコニコしてる犬がいて、野菜を育てたり、野草を採って煮たりして暮らしたい。それなのに現実は電子機器に囲まれ、大きな鉄の塊に体を運ばせている毎日。へんなの

3分間で済みそうな生活

私はかなりセンシティブな人間だとは思う。なんというか“多感なお年頃”から抜け出すことができずにとりあえず21歳になった。終点のないことを考え続けては疲弊して肩で息をしている。 半年くらい前に大学のある教授に対して不信感があったので意見してみると…

怒りや悲しみや羨望や嫉妬や愛といった類の

誰にも奪われたくない。でも私はお前らから奪っていい。何だって全部、私の方が欲しがっているから。 私の手が一切届かないところでぶくぶくと沈んでいく虫みたいな奴が気に入らない。二度と這い上がれないのに足掻くこともしないから。その諦めたような姿が…

懐かない部屋

かわいそうな自分を慰めながら歩いている。お前らとは違う、分かり合えるわけがない、そうやって、地に足が着かないことに理由を与え続ける自分を。堂々巡りの毎日で、朝になるまで必死に意識にしがみつく自分を。 ここで一人暮らしを始めてあっという間に3…

正しさを義務付けられている

部屋で金木犀が香っている。私が帰ってきた途端にどんよりと暗くなるこの部屋で。花の匂いに慰められ、あんずの香水に励まされ、ずっと水をやらなくたって枯れたりなどしないサボテンに後ろ指を刺されている。絶対に忘れないままでいようと思っていたことに…

副船長になった

自分のことしか考えることができない。 日々や生活という言葉に毎日苦しめられ、他人を圏内に入れた暮らしを送れない。どうしようもなくなって呪詛を吐き出してばかりいる。こうして文字に起こしてしまえばやっと自分のものではなくなるようで、縋るように、…

呪った

自分の人生を少しでもよくするためならなんでもやってやるぞという気持ちで色んなことに手を出してきた。夢だ目標だと語りながら足りない部分を補うように資格や免許を取った。でもそんな付け焼き刃の知識は社会では何も通用しないことが次第に分かってきた…

ステロイド

絶対朝起きたらこれをやろう、絶対やるんだ、と決めて寝た次の日、全然予定通りに起きれないと、もう全部だめになってしまう。100か0かしかなくてひとつのことがうまくいかないとその日は何もかも0点。正当な点を上手につけてあげれるようになりたい。 実家…

負け犬にしてはプライドが高い

取り返しのつかないような強い毒が塗りたくられた針がずっと前から私の人生に刺さっている。もうどうしようもなく軽蔑していた人のことを何かのはずみでうっかり許してしまった。自分の人生に余裕がなければ、特定の人についてムカついている暇なんかないん…

過去で生きてる

高校生のころ女子生徒みんなが靴下を引っ張りながら登った階段のことを突然思い出した。容量を食う事なんて構いもせずにスマホを替えるたび復元し続けたカメラロールには、そのほとんどが残っている。校則で禁止されていた巻き髪や校内でのスマホ使用や口紅…

欠陥に恋をする

持っているものは若さと時間だけだという自覚が、己を延々と苦しませ続けている。とにかく体力がない。納得いくまで考え込むくせに終点は見つからず、体力ばかりを浪費し、自分以外の何かに異常なほど共感しては寒くなったり悲しくなったりする。人間として…

生き地獄という罪滅ぼし場

ひとりで部屋にいて、部屋には自分の気配以外なんも無かった。換気扇を回したら自分の気配ごとどっかいっちゃった。何もないのに何もないことがどうしようもなく虚しくて、途方も無いくらいの時間をこれからもここで過ごしていかなきゃいけないんだって思う…

罪人のような気持ち

今も昔も才能が欲しくて、それこそ喉から手が出るほど欲しくてたまらなかった。私はずっとどこかで自分のことを特別な人間だと思っていた。気に喰わないものを才能で全部ぶっ潰したかった。そして未だにそう思っている。 本当は才能ってそういう風に扱うもの…