呪った

自分の人生を少しでもよくするためならなんでもやってやるぞという気持ちで色んなことに手を出してきた。夢だ目標だと語りながら足りない部分を補うように資格や免許を取った。でもそんな付け焼き刃の知識は社会では何も通用しないことが次第に分かってきた。

良くするために始めたことが自分を追い込んでいる。あと何度耐えたら、どれだけ沈んだら、水面に上がって息をすることができるだろう。社会の様子も日を追うごとにおかしくなっていく。得体の知れない違和感にからだが蝕まれていく、悪い夢の中にいるようで、目を覚ましたら何もかもが元通りに、また日も昇る、そんなことを考えてばかりいる。

 

私はアポトーシスの途中で、死んで生まれ変わるために殻の中で細胞をドロドロにして準備しているんだ。外からの少しの刺激で簡単に死ぬ、殻を壊されたらおわりだからずっと息を潜めて隠れてばかりいる。全然健康体じゃない。毎日薬を飲んでいる。明るく生活するために、苦痛をやり過ごすために、少しでも不安をなくすために、錠剤を消化する。月々の医療費のことを考えると本当につらくてどうしようもない。

何にでもなれる、何だって目指せる、自分は特別な人間なんだと信じて疑わなかったころの記憶を何度も何度も脳内で転がして、この泥のような感情に理由を与えて安心している。二進も三進も行かなくなった日はだいすきなアーティストのライブDVDを棚から引っ張り出し、彼ら彼女らが命を削って生み出したその楽曲、空間、言葉を消費する。

泣きながら作った居場所を撫でて慰めている。