3分間で済みそうな生活

私はかなりセンシティブな人間だとは思う。なんというか“多感なお年頃”から抜け出すことができずにとりあえず21歳になった。終点のないことを考え続けては疲弊して肩で息をしている。

半年くらい前に大学のある教授に対して不信感があったので意見してみると「あなたのセンシティブが刺激されないように生活してくださいね」と言われた。その時こそなんだか煙にまかれたような気持ちになったものの、今となっては納得できるような気がする(自分が間違っているとは思っていないけど)。正/誤とかではなく、まあ分からんでもないな、そういう風な落とし所を見つけることができた。極端に二分化してしまう癖があるので、感情や事実や諸々の瞬間をもっと細々とした部屋割にしていければいいと思う。どうせ思い出はまとめて美化されるものだから、すぐさま負の部屋に持っていかなくてもいい。

 

嫌いだった酒を飲んで無理やり眠りにつく。朝起きれば頭痛がしてまた憂鬱で気怠い最悪な1日が始まる。みんなが1分で考え終わるようなことが一日中胸につかえる。起きてるのか寝ているのかも定かでないような心地で今日もなんとか。いつまでも物心がつかない大人。そんな日の晴れた朝は鬱陶しくてムカついてたまらない。

 

借りている部屋は商店街の通りに突然現れる。だから何日かぶりに外に出てみても絶対に120%めちゃくちゃ人が歩いている。私はそれが嫌で嫌で仕方ない。外に出た方がいいよ、散歩してみよう、と私のシティボーイに言われたところで、こんなにわらわらと人がいる街を歩いて何がどうなるんだよって泣いてしまう。どこに行っても絶対に人間の気配を帯びている空気、うるさい車通り。そしたらとうとう「一人でお外に出れる?」と聞かれるようになってしまった。私はいつのまにか本物の引きこもりになっていた。

人の人生を見るのが怖い。ただの登場人物であってほしいのに、みんながみんな自分が主人公って顔で歩いてる。連れ出されて通りを進んだ先にあるこぢんまりとしたケーキ屋さんでお茶をした。途中、私は無性にイライラし始めてしまって、開けっ広げに不機嫌になった。話しかけられるのが嫌で、それが誰であろうと関係なくもう黙っていてほしくて、誰の顔も見たくなくて、置いてけぼりにしてそれはもうズンズンと早足で家に帰った。そしたらとうとう私も怒られた。これまでどんなに私がぐちゃぐちゃになっても怒ったこと一度も無かった、あの聖人彼氏が、私を叱った。鼻水を垂らしながら「帰ってよ」と大声を出す私を見て、彼はドン引きしていた。手に負えなくって絶望していた。

そして翌朝目がパンパンに腫れた私のこと大笑いしてた。