懐かない部屋

かわいそうな自分を慰めながら歩いている。お前らとは違う、分かり合えるわけがない、そうやって、地に足が着かないことに理由を与え続ける自分を。堂々巡りの毎日で、朝になるまで必死に意識にしがみつく自分を。

ここで一人暮らしを始めてあっという間に3年が経とうとしている。この部屋はいつまでも私に懐かない。少しでも気を紛らわそうとして、机を撤去してソファを置いた。カーペットも変えた。ベットのカバーもシーツも、本の並べ方も、全部全部入れ替えた。それでも顔色は変わらない。だから私も部屋に懐かない。

いつもみじめだった。

泥の中からゆっくりと這い上がってきたような声で「ただいま」と言う。床に座って何時間も座り続けたら腰を痛めた。悲しみを引きずっていたら削れてしまって何だか分からなくなってしまった。明日なんか来なければいいと思いながら未来に夢を見てしまう。輪郭もないのに。自分がどこに進んでいるのかなんてずっと前から分かっていない。虚ろにただ浮揚する今があるだけだ。

 

オレンジ色の花を飾りました