ミラクル丸腰

高校生一年生の頃はじめて会った時からずっと特別な女の子がいて、どれくらい特別かというと、私がその日持っていた憂鬱がその笑顔ひとつでチャラになるくらい。彼女の人生にもいろんな一喜一憂があると思うけど、否応なしに最後には幸せになってほしい。

同じクラスで前後の出席番号で奇跡的にそれが3年間続いた。お弁当も毎日一緒に食べていたので、その子の食べ物の好みはだいたい分かるようになった。わたしはプチトマトが嫌いだったのでいつもその子に食べてもらっていた。途中から「毎日はいらんわ」と言われるようになったけど、わたしは毎日しつこく「いる?」と聞いた。彼女は持ってきたオムライスにケチャップをかけながら「今日はいらなーい」と言っていた。色んなことを話したりたくさんのことでふざけていたけど、そういう取り留めもないやさしい日常のことを今でもふと思い出す。

わたしはその子のことが訳もわからず大好きで、本当に可愛くて仕方なくて、人混みの中でも簡単に姿を見つけることができた。いまも、その子が持っているだけで無敵になれるようなおまもりになりたい、願わなくても決して沈まない太陽になりたい、その子のもとに落ちてきた隕石をすべて蹴散らしたい。