嫉妬もできないくらい圧倒的に負けたい

帰省中。

外に出ると都会よりも濃い夏の雨上がりみたいな湿った匂いがして、ここで生きたいよなあとか思った。昨日も今日も蛙が大きい声で気持ちよさそうだった。

赤ちゃんが泣いているのを見ると「いいなあ」と思うときがあり、羨ましいと感じる自分を不思議に思って、暫く考えたのちに私もエーンって人目を憚らず泣きたいんだわって結論に至った。不健康すぎる。でも何もかも分からないことにして振り出しに戻って泣きたいっていう風に思うのは、自分が大人になったからなのかもって思う。「子どもと大人の境ってどこだろね」みたいな話になると私は決まって「羨ましいと思ったら」と言う。子どものころは早く大人になりたくて仕方なかったし、大人は子どもの頃に戻りたいって口を揃えて言う。理想通りには生きていけないって知ってしまうことが大人になるということなのか。大人になればわかるって言葉は、失ったら分かるって意味だったのか。