超一方的完全勝利

先週の散々な激務を終わらせてくたびれきった体でベッドに沈んでいる。そのせいで変なことを書きたい。

夜の私は昨日の夜の私よりも綺麗になろうとしていて、明日の私は今日の夜の私よりももっと可愛くなれる、はずで、その予定はきっと侵されることはない。

彼氏の元カノって誰に何を許可されて息をしているんだろう。彼氏の元カノと呼ばれる人間が普通に食事をしたり排泄をしたり朝はちゃんと目を覚ましたりすること、そしてその他諸々の営みが彼女の自由意志であることの意味が私には全く理解できない。

以前。彼氏の部屋で彼氏が仕事に行くのを見送りほくほくしながらベッドで暇を持て余していたところ、不意に足の爪先にぶつかった紙袋が気になった。よせばいいのに何気なく見てしまった。すると中から彼氏がかつて好きだった女からの手紙が出てきてしまった。それは元カノというやつらしかった。一通だけ目を通して元のようにしまっておいた。手紙にはハートマークがいっぱいで、もちろん彼女に名前があることに驚いた。私の頭の中にはその手紙が繰り返し現れたので、脳の端に寄せておいた黒のマジックペンでぐちゃぐちゃに塗りつぶして、心の窓から投げ捨てた。てか、結構普通に息とかしてるんだね。

金輪際、元カノが私の恋人の部屋にコンビニの袋を提げてやってくることはないということ、承知。私の方が頭が良く賢明なこと、それも承知。私の方が生まれた瞬間から可愛くていい女だってこと、当然承知。私のほうが感受性が豊かでそれゆえ人に優しくできること、人を好きになれること、同時に人に無関心になれること、それだって私はちゃんと分かっている。

だけど、通称元カノは、私がまだ20やそこらでこれから私を惑わす出来事にすでに落ち込んだりして、必死に当時の彼氏からの言いつけを守り、彼からの「可愛い」を当然のように享受していたあの頃、通称元カノは私の恋人と恋愛をしていた。そして恋人はその元カノからの手紙やその他諸々の思い出の品を、引っ越し先にまで持ち込んできたという強すぎる現象。私たちはきっと気が合うだろう。この男の子がどれだけ可愛いか、どれだけ優しいか、慈しむべき存在なのか、そんなことを話してお茶でもして盛り上がって、また会いましょうとさよならをする。私は恋人が待つ部屋に帰る。そして元カノはそのまま崖から落ちて死ぬ。

 

私に大切な優しい思い出がある分、同じように、みなさんにも素敵な思い出があるのでしょうね。手紙を見つけた時は驚いたけど傷付きはしなかった。読んで動揺もしなかった。ただ不思議だった。私の恋人がかつて別の女の子のことが好きで、守りたいとか、大切にしたいとか、そういう感情を持ったということに現実感を持つことができない。大事な思い出だとしても、その約束守れなかったんでしょ。私が一番可愛いんでしょ。それなら燃やせるでしょ。割り切るためには引いてくしかないんですよね。私が引いて引いて、全部なくなってゼロになっちゃう前に、その前に、ちゃんと全部精算して隠しといてね。