部屋いっぱいの陰気

この秋はいろんな考え事をしていて苦しかった。たくさん泣いてしまったので、逃避した先でできたものを数個だけ紹介します。五・七・五・七・七の三十一文字は、単なる感情の吐露を物語にしてくれるようで良いです。

約束は破ってしまえば燃えるゴミ 破れなければ燃やせないゴミ
君が描く小説に出る木箒で散ったイチョウを掃く人になりたい
仄暗い夕去りのなかであやまたず咲く花にまで嗤われている
ぼくが見る最後の夢は桃の夢 花の蕾がもげ落ちる夢
空のない窓が記憶のすべてなら少女は海を知っていたか
翳りゆくゴミ箱みたいな部屋の中で指折り数える朝の鳴る神
水深を貰えば犬は泳ぎ出す 人は水面を恋するばかり
知恵のみが救いになると嘯いた私の命が干からびていく
どうしても辿り着く地を愛と呼び地獄の言語できみを呪った

本当に日々はどうしようもなくて、何も分からないまま生まれて、以来ずっとそのままな気がする。赤ちゃんが生まれてすぐに泣くの、この世に生まれ落ちる悲しさを神さまに教えられてきたからなのでは